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(あぁ苦手なんだよね、ターンテーブル)
研修の時からターンテーブルは苦手。
回る時に酔いそうになるので、できれば回避したい。
しかし慣れるまではこの路線を走り続けないといけないため、『行きだけ』と強く自分に言い聞かせている。
乗客を降ろし、バスをターンテーブルまで走らせる。
(よし)
とターンテーブルのスイッチを押そうとしたとき、ふと視線を感じた。
「私かな?」
違うかも知れないが、どちらにしても怖い顔は出来ない。
愛は考えた末小首を傾げ、微笑むことにした。
スイッチを押し、ターンテーブルを回す。
回る先に一人の学生服の男の子が見えた。
「あの子?」
愛は疑問に思いながらも、そのままバスを発車させる。
この時愛は、高校生の男の子に知らず知らずのうちに恋をしていたのだ。
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