辻野シン

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「ほら、早くいつもの買ってきな。」 チャリンと目の前に1枚の一円玉が落とされる。 「…えっと、これじゃ何も買えな…」 「何か言った?」 「いや…何も。」 「そっか、じゃ今日も宜しくな。パシりのシン君。」 ハッハッハッと遠ざかる声。 あーあ…。 なんでこんな理不尽なことされなきゃいけないんだ。 購買までの長い廊下を蹴られて痛む足を引きずりながら進む。 毎日毎日学校の不良にいじめられ、家に帰っては傷を見て心配する母さんに八つ当たりをする。 こんなことの繰り返し。
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