問題児

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 僕が倒すべき相手に選んだ相手は、問題児扱いされている男子生徒だった。彼は能力を使って平気な顔して人を傷つける。そんな彼に皆は近づかない。彼に近づいたところで、ロクなことにならないからだ。  問題児の能力は発火だと聞いている。何もないところから火を出すのだろう。 「放課後、君に用があるんだ。校舎裏で待ってる」 「……分かった」  自分の教室の自分の席で本を読んでいた彼に、伝える事だけ言って自分の教室に帰る。昼休みだからかもしれないが、問題児の周りには誰もいなかった。問題児のいる教室には、問題児以外の生徒がほとんど残っていない。居ても一瞬で数えられる様な人数だけだ。  正直怖い。問題児は別に髪型を逆立たせたり、ピアスをしたりしている訳じゃあない。逆に問題児の格好は普通。完璧に制服を正しく着こなしているし、髪は黒で短髪である。どこにでも居る様な真面目そうな人間。真人間で口数は少なく大人しい。そんな問題児が考えている事なんて分からないし、彼が今までしてきた事を思い出せば、彼の考えている事を理解しようなんて思わない。  問題児が今までしてきたことは噂でしか聞いた事ないが、『犬猫を学校付近の公園で燃やしていた』とか『街で不良に絡まれたらしい問題児が不良を焼いた』とかだ。焼いた、燃やしたぐらいじゃそこまで恐ろしいと思わない。僕もそうだった。
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