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「早いんだね」
「時間通り来ただけだ」
放課後になってすぐに教室を飛び出して校舎裏に来たのだが、問題児は既に居た。校舎裏で僕を待っていた。
「それで、用って何だ?」
僕から話し出そうとしたが、問題児が先に切り出してきた。
「喧嘩をしよう。僕は能力を使える様になったから君は手を抜かなくていいし。僕は腕試しをしてみたいんだ」
「面倒だからパス」
「じゃあ君が勝ったら僕を好きに燃やしていい。殺していいよ。自殺に見せかける為に遺書も書いてきた」
「……やろう」
問題児は渋々頷いた。こんな準備までしてくる僕をどう思っているかなんて分からないが、やる気になってくれるのならなんでもいい。
手汗がすごい。今まで能力を使わない普通の喧嘩もしてこなかったんだ。そんな僕が能力持ちと戦おおうとしているのだ。ビビってないでとにかく生きよう。
問題児は落ちている石ころを拾って火を点けた。その火はサッカーボール程度の大きさまで膨れ上がる。そのまま火を問題児は僕の目の前の地面に落とす。当然地面に小さな火が広がる。問題児の放った火に僕は反応できなかった。別に速度の問題じゃない。僕の気持ちの問題だ。軽く放られた石を簡単に避ける事はできた筈だ。
帰るなら今しかない。そんな気がする。問題児は動かないで僕の反応を見ているし。
僕は奥歯を噛み締めて、右足を火の中に踏み出す。もう覚悟は決まった。
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