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 子供なら大人に逆らってナンボのもん。そんな考えが生まれる時があるのが子供なのだ。当然僕の身の回りでもそんな考えが生まれて、大人に媚びへつらう僕を同級生達はイジメ始めた。前々からイジメられる気はしていたのだが、この考えがキッカケになったのだと僕は思う。  僕がイジメられる要因はひとつじゃない。大人に媚びへつらう事だけじゃなくて、僕は能力を使えないからだ。  能力。それは少年少女の時期だけ持ち、大人になると同時に消えていくもの。能力には様々な種類のものが存在し、今や能力を持っていない少年少女など数少ない。きっと能力を持っていない自分は、周りの子達より劣っているし、周りも僕の事を欠陥品程度かゴミ程度にしか捉えていないだろう。  高校受験を控えた僕は、日が立つにつれ暗い気分になるのだった。能力が消える年齢の平均は20歳である。だから中学を卒業して高校生になってもイジメられるという事は容易に想像する事ができる。それも僕の気持ちが沈む大きな要因だが、能力を持っていないってだけで不合格になる高校が多い。正直僕は進学を諦めて、働こうと思っている。    僕が魔女を拾ったのは、いつもと同じ帰り道での事だった。肌寒い空気。夜。いつもと同じ道。同じ景色。加筆することといえば、僕の歩く道には人があまりいない。あえて人通りの少ない道を選んで歩いているからだ。僕が魔女を見つけたのは、その帰り道での事である。アスファルトの道の上で魔女は倒れていた。淡い光を発している様な不思議な女性が道に横たわっていたのだ。実際に女性が光っていたわけではなく、見たことの無さそうな種類の人だったのでそのような表現を使ってしまっただけ。
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