魔女

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 魔女は性格以外は普通の人だと僕は思う。問題の性格はまさしく魔女なのだ。禍々しい様なまどろっこしい様な。そんな魔女を家に運んでしまったことで僕は舞台裏を知ることになる。 @@@  僕は一人暮らしをしている。その理由は至極当然のことだと僕は思っている。  能力を使えない僕を両親は見放した、僕はアパートを借りて住んでいる。月に一回仕送りが振り込まれるが、大した額じゃない。とにかく、今は一人暮らしをしている。  家のドアを開けて中に入り、女性の履いていた白い運動靴を脱がせて玄関に置く。そしてリビングまで引きずる。女性を何処に寝かせようか迷ったが、床に寝かせる事にした。それはそれで申し訳ない気がするが、僕みたいなのが使っている布団を使うよりかマシだろうと思ったからだ。  女性を仰向けに寝かせてから、僕は学生服から家着に着替えた。ふとリビングからテレビの音が聞こえてきた。僕が着替えている間に眼を覚ましたらしい女性がテレビを点けたのだろ。  リビングに戻ると、女性は胡座で座っていてテレビを見ながら喋った。女性はスカートではなくズボンを履いているのでなんら問題は無い。 「なぁ、なんでお前はそんなに大人しいんだ?」 「だって僕には――」 「能力が無いか? にしてもお前は大人しすぎる。捕食者としては気持ち悪い」  僕は個性が無いと言おうとしたのだが、女性は能力と言った。どうして僕が能力を持っていないのを知っているのだろうか? そして捕食者の意味とはなんなのだろうか? 「とりあえず助かったよ。あそこでお前が逃げたなら後で首をもぎ取りに行くつもりだった」 「物騒ですね」 「でもお前はなんなんだ? 能力を持ってないからだとしてもあまりに大人しすぎる。壊れてんのか分かんないから、消費者としては心配なんよ」    さっきから捕食者とか消費者とか何なんだ? もしかして性的な意味でなのだろうか? これでも少年の端くれなんだ。何をするか分かったもんじゃないぞ。 「まぁまぁ、そう眉間に皺を寄せるなよ。説明してやっから」  言われて気づいたが、自然と眉間に力を入れて皺を作っていたみたいだ。僕の答えを待たずに魔女は続ける。 「能力を子供しか持たない理由を知っているか? 知らないだろ。んー?」  顔を近づけないで欲しい。
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