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「殺すとしたら大人より子供の方が簡単だろ? そんだけの話しさ。能力があったって基本馬鹿ばっかだし。でもお前はなんか違うんだよな。普通じゃないちゅーかなんちゅーか」
「……そうですか」
「じゃあ死にやすい子供が能力を持つ理由はなんでしょう? それは私達魔女が子供を食って能力を手に入れる為」
魔女は両手の指をキツネにして、ガウガウと肉食動物っぽい声を出している。
「僕は能力が無いです」
「知ってる。お前は食べる為じゃなくて餌に使うんだ。それに住処も確保できるし一石二鳥だろ」
そんな事言われても答えに困る。魔女とか信じられない。子供だけが能力を持つ理由も、社会じゃ人類の進化説が一般的だし。にしても能力と魔女って何の関係もないんじゃないか?
「魔女は人の能力を奪えるの?」
「本当は能力じゃなくて魔法なんだけどな。まぁ実際のとこ力の名前なんてどうでもいい。ただ使える能力が増えるのは楽しいし。ローグライクゲームやってるような感じなんだよね。分かるかな、シレンとかさ」
僕も武器類に能力を追加して、殴られたらダメージより回復量が多くなる装備を作って遊んだりしたもんだ。昔はハマったが今はすっかりその手のゲームをやらなくなったなぁ。
「で、これから僕は死ぬの?」
餌にされて死ぬのか。餌になるために死ぬのか。魔女に殺されるのか。瞬間的に考えついたのがこのパターン。でも魔女は住処とも言っているから、僕を殺すなんてことはしない。それを予想した上で聞いてみる。
「馬鹿かよ、殺すわけ無いだろ。さっき私はお前を利用するって言ったんだぞ」
「じゃあ僕は何をすればいいの?」
「鈍そうだから何もしなくていい」
こうして僕と魔女の強制された共生した生活を送ることになったのだ。この場合共生なんてものじゃなくて寄生の方が合っているかもしれない。
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