第零章《死の真理》

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 学校が始まって、二週間なんて経つとクラスの皆は大概学校の授業に慣れてたり、早い奴はクラスの生徒の数人と仲良くなってたりする。本格的に慣れ始めるのは、大体五月になってからだが。  友達を作るのが上手い奴と下手な奴と二種類に分けられたりするが、俺はもしかすると後者の友達を作るのが下手な奴なのかも知れない。学校で喋るのも、幼なじみ程度だし。  だからといって、寂しい思いをしてるわけではない。高校なんて、親に無理矢理入れられた言わば監獄と同じ様なものなのだから。中学の頃は高校なんて入りたくなかった。頭が無いからとかでは無く、ただ、学校が嫌いなだけだった。  友達や、クラスの奴らと団結とか…。中学三年間、散々聞かされた。体育大会や、文化祭に。  団結して、優勝目指して頑張ろう。団結して、最優秀賞目指して頑張ろう。とか。  毎回、全部頑張っても意味が無いと思って、いい加減な気持ちで行事に参加していた。糞食らえだなんて思ったりもしたことがある。女子からの文句などどうでも良かった。  学校が始まり、数週間が経った。担任の先生に「いい加減友達作れ。」と言われた五月中旬のある日。俺、榊大斗(サカキヒロト)は黙って真っ直ぐ家に向かって歩いていた。  クラスの奴からの誘いなんて即刻無視し、真っ直ぐ家に向かった。汚い家が見える十字路を右に曲がり、俺は音楽プレーヤーを手に握りながら、携帯を持った。時刻を見ると、15時47分だった。  音楽プレーヤーの中に入れてある、好きなアーティストの曲を流しながら俺は静かに歩いた。そんな静かな俺の背中から、気のせいだろうか、何かが此方に向かって来るような足跡が聞こえてくる。何故だろうか。嫌な予感しかしない。背中を冷や汗が浸る。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!