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「ひ、大君は…。」
「んだよ。」
「…なんで高校に入ったの?」
「親に無理矢理入れられた…って何度言えば気が済むんだ?」
「もし、高校に入っていなかったら、どうするつもりだったの…?」
「…知らね。どっか適当な場所で働いていただろうな。涼也の爺ちゃんに誘われた漁師の仕事をしていたかも知れない。」
「…そんなの、無茶苦茶じゃん。そんなにいい加減で、将来どうなってるか分かんないよ?なんでそこまで将来に危機感が無いの?」
綾はいつになく、張り詰めた空気になるような言葉を発した。
俺は、その言葉に対し、何も言い返さずにいた。柄にもなく、傷付いた。
綾にそう言われて、俺は、「黙れ。結局お前もお説教ですか?俺がこの先どうなろうが、お前にも誰にも関係無いだろうがっ!!」
俺はそう叫ぶ様に言って、体を家の方向に向け、また歩き出した。
綾は、後ろから、「ま、待って!待ってよ!大君!」と言いながら俺の腕の袖を掴んできた。
俺は学校の階段の二倍はある、古い階段を登りながら、無視を通した。
階段を登った先には、車が通っている。二台…三台…、と。
綾は俺が最後の段を登り詰めたと同時に、こう言ってきた。
「ねぇ、大君、さっきはごめんね。私は大君のお説教しに来たんじゃないんだよ?クラスとの交流をもっと深めようって話をしに来たんだよ?」
「うるっせぇな!俺には必要無いって言ってるだろうが!」
ついカッとなり、叫んでしまった。
俺がそう叫んだと共に、ピーという音が辺りを鳴り響いた。
俺には、綾の「キャーッ!」という叫び声と目の前の真っ白な空間しか見えなかった。
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