序章

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先の大戦から五百年。時代は過去の英雄の話しを伝える事より、今の自分達の生活の方を優先して生きているそんな時代。ここ「ナハト国」に顔以外の全身をマントで隠した男が流れ着いた。 彼は町の喧騒を横切り、裏路地の所謂スラム街に入っていた。そんな彼に一人のの少年がぶつかってきた。 「っと。ごめんよ。」 そう言う少年の襟首を即座に掴み彼は一言、出せ。そう言った。 「出せも何も一体何を出せば良いんだい?ここの住人は皆金目の物なんて持ってないよ?」 そう少年は首を男に向け言った。しかし男は掴んでいた襟首を横にある壁に向かい投げた。少年は背中を壁にぶつけたが、男は間髪入れずその細首を右手で掴み「三度目はないぞ」髪で隠れてない右目でそう抑揚のない声で少年を真っ直ぐ見た。 「ご、ごめんなさい。」 迫力に押された少年は、胸元から彼の財布を取り出し、そう謝罪した。 それを受け取った男は、右手を離しその場から離れていった。少年はその場にへたり込み、それをただ見ていた。
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