序章

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その晩。男は近くの林で火を起こし、暖をとっていた。そこに昼間の少年が近付いて来た。 「何の用だ?」 男は少年の方を見る事も無く、ただ一言そう言った。 「この辺は夜に化け物が出るって噂だし、いくらお兄さんが強いといっても化け物が相手じゃ勝てないだろうと、忠告に来たんだよ。」 暫しの沈黙の後、それを破ったのは少年の方だった。 「ほ、本当は忠告よりもお願いに来たんだ。…実は、俺の姉さんが憲兵隊に捕まって…助けて欲しいんだ。憲兵隊に捕まると酷いことをされるって話だから、一刻も早く助けたいんだ。」 「…」 暫くしても男は喋らないので、少年は諦めの面持ちで踵を返したその時、背後から声が聞こえた。 「そこは城に近いのか?」
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