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第1章~フォーティス~
第1節 学園都市最強の楯(アイギス)
???
――ここはどこ?――
暗い暗い場所。どこまで行っても闇が支配する世界。
何故こんな場所に居るのか解らない。けれど、この場所に居なければならい、この場所からは出られない。
――アナタハココニイナクチャダメヨ――
その考えを肯定するかの様に、脳裏に響き渡る幼い女の子の声。
ーーなんで?ーー
その声に問いかける。
ーーココガアナタノバショダカラ…ココガアナタノスムセカイダカラ…。ダメヨ、モウニゲラレナイーー
さも当然の様に、それが当たり前で…。自分に巻き付く楔は、決してほどけない。
ーーそう、だよね…。忌まわしき血が流れているんだもんね…ーー
この身体に流れている物が、自分自身を縛り付けている。
ーーソウソウ…ニゲラナイノ…。ダカラミヲマカセテ。ソウスレバラクダヨーー
彼女は楽しそうに笑う。
――うん――
彼女に言われるがままに闇に身を委ね、ゆっくりと目を閉じていく。
――オヤスミナサイ――
最後に、そんな声が聴こえた気がした。
新西暦512年 6月8日 金曜日
ピピピピピピピピピピッ……。
勇斗「う……う~……」
顔まで被っていた毛布から手を出して、ベッドの棚の上で鳴り響く目覚ましを止める。
勇斗「………」
そして毛布の中に手を引っ込めると、そのまま2度寝をしようと再び目を瞑る。
???「お、すまない。起こしたか?」
だがそれを妨害するかの様に、部屋の中に声が響く。
勇斗「……いや…これから2度寝するところ…」
その声に適当に答え、身をよじって身体を横に向けた。
???「やれやれ…天下の風紀委員様が堂々と遅刻宣言とは…世も末だな」
勇斗「いぃ~んだよ…。今日は遅刻ギリギリで登校するのが俺の“役目”なんだから…」
???「今日から“そう言う日”なのか…。にしても、普通そう言うのって週明けからじゃないのか?」
勇斗「少し前倒しで始めて、そう言うのを意識させようってことらしい…。今月は土曜日も登校だからな…………ん?」
話していて俺はある違和感を覚えた。
???「ん?どうした?」
勇斗「今日はやけに早起きなんだな?」
???「あぁ~、朝練だよ…」
少し考えてから、身体を起こして背伸びした。
???「2度寝するんじゃないのか?」
勇斗「いや、目が覚めたよ。だけど、起き抜けに男の半裸を見ることになるとはな…」
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