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目をむけると、そこには制服に着替えているルームメートの姿があった。
???「おっと…すまんすまん。って俺が謝る事なのか?」
先程から話しているこいつは俺のルームメート、山城佳明だ。
この春から2年生になった俺達だが、こいつとは1年以上の付き合いになる。
天ヶ瀬学院男子寮“清風寮”は、2人で1つの部屋を使い、クラス替えの様な事も無い。
俺達が通う天ヶ瀬学園は4年制。
つまり後約3年は、こいつとほぼ毎日顔を合わせる事になる。
勇斗「当然だ。俺は男の半裸を見て喜ぶ人種では無い」
佳明「ったく、朝から毒舌が冴える奴だねぇ~。んじゃ、俺は行くわ」
勇斗「あぁ…」
着替え終わった佳明に適当に手を振る。
佳明「油断して遅刻なんてすんじゃねぇぞ!」
最後に嫌味を残して、玄関から出ていった。
勇斗「飯でも食うか…」
頭を掻きながらベッドから降りると、台所に向かい冷蔵庫から牛乳を取り出し、犬の絵のが描かれたカップに注いだ。
勇斗「ふぁ~…」
あくびをしながらテレビを点けニュース番組にする。
この寮の間取りは全室同じで2人で使うには十分過ぎるスペースとキッチン、トイレ、風呂も完備してある。
おまけにベランダもあるし風呂とトイレは別で、脱衣場には備え付けの洗濯機と乾燥機まである。
寮と言うよりはアパートみたいな感じである。
ブー、ブー、ブー、ブー…。
勇斗「ん?メール?プライベート用なら、学園に行く前で良いか…」
テレビの真上にある掛け時計の時間を確認して、そう呟いた。
天ヶ瀬学園都市中央区治安維持管理局
その中の1室…。
???「う~ん…」
パソコンの画面を見つめながら、うなり声を上げる少女。
???「“姫”?どうしたのですか?」
長身でスラッとした体型、長い金髪をなびかせた少女が話し掛ける。
姫と呼ばれた少女「連絡がつかない方が1人おりまして…。困りましたわ」
揺っとりとした口調のその少女は、困ったと顎に手を当てて首を傾げた。
金髪の少女「“姫”の連絡を無視するとは…どこの無礼者ですか!?」
姫と呼ばれた少女「こうなったら直接“彼”の所に行くしか無いですわね」
金髪の少女「成る程…また“奴”ですか。はぁ、分かりました。そう言う事なら、私が行きましょう」
どこか呆れた口調になる。
姫と呼ばれた少女「ありがとうございます。それではお願い致しますわ。それと、遅刻なさらないように…」
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