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完全に背を向け、立ち去る。
和正「あ!?そう言う事か?!」
何かに気付いたらしい和正は、慌てて自室に戻っていった。
今日から始まるのは《遅刻者0週間》で、今日はその予備日。
俺は予鈴ギリギリで登校する’殿‘の役目を担う事になっていた。
つまり、俺より後に登校した者は遅刻となる。
1回目は厳重注意、2回目は最終警告、3回目で、風紀委員会で行っている奉仕活動にご招待となる。
勇斗「みんなぁ~、遅刻するなよぉ~」
と声を掛けながら玄関を目指す。
俺達が通う私立天ヶ瀬学園は、この清風寮からおよそ10分、8時20分までに登校すればギリギリセーフなので、この時間帯でもまだ人は残っている。
『また突発的に始めやがったよ…』などと言う声も聴こえてくるが、これも風紀を守ると言う意味ではとても大事である。
何故なら、普段から規則正しい生活さえしていれば慌てる必要がないからだ。
勇斗「今日も快晴か…。暑くなりそうだな」
朝起きた時から陽光が射し込んでいたので、天気は大体予想は出来た。
勇斗「時間的にはまだ余裕があるな。ゆっくりと行きますか」
時間を確認して歩き出す。
――チャリン――
とその時、どこからともなく鈴の音が聴こえてくる。
勇斗「ーっ!!」
反射的に高く跳び上がると、足下スレスレに何かが通りすぎていく。
???「ちっ、外したか…」
本気で残念そうな声が後ろから聴こえる。この声には聞き覚えがある。
勇斗「何しやがる?!亜弥里!!」
衝撃を吸収しながら着地し、勢いよく振り返る。
???「貴様が待たせるのが悪い!!」
そこには予想通りの人物が居た。
勇斗「待ち合わせしてねぇし、んな理不尽な理由で斬られて堪るか!!」
真剣を構えた少女を怒鳴り付ける。
???「黙れ!!風紀委員である貴様がこの様なギリギリの時間に出て来る事が問題なのだ!!」
が、彼女も負けじと、引き抜いた刀を戻しながら詰め寄ってくる。
勇斗「状況をよく見ろ!!俺は今、風紀委員会の手伝いをしているんだ!!」
???「そんな言い訳は聞きたく………何?」
勇斗「だ か ら!学園の風紀委員会の手伝いをしているんだよ!」
???「あ~…」
彼女の目線が左腕に移る。
勇斗「ったく…もう少し状況を分析しやがれ…」
その場で凍り付いたかの様に動きを止めていた。
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