鉄分事情と恋心と下ネタ……とか?

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鉄分事情と恋心と下ネタ……とか?

その日、滅多な事はするもんじゃねーなと確信に至る日だったな。 中学3年生の放課後となれば割りかしら街の散策をしたい時期である。意味もなくゲームセンターやショッピングモールをうろつき、ただただ無駄な時を費やすだけの時間帯での出来事だ。 店の脇にある路地裏みたいな場所での事、見知っている訳でも無ければ同じ学校の人という訳でも無い、だが俺と同い年の女の子がガラの悪そうな男に絡まれていやがった。 それをまぁ当時の俺は黙って見なかった振りが出来る程器用な人間でもなくて、つい。 「おい、そこの不良止めろよ」 なんてしゃしゃり出てしまったのだが不味かった。もし今の俺が当時の自分に言葉を伝えられるんなら、その言葉そっくりそのままお前に返してやるってぜってー言う。 なにせ相手は1人じゃなくて後ろから鴨の親子の列かと言う程、バカ面下げた連中が続々集まりやがったんだから、格好付けた自身を後悔するしかねぇ。 後はお決まりフルぼっこ。1人に対して5人で囲みやがるんだから、やられ役の悪の怪人の気持ちが少しは理解できた。数に勝る暴力は無いってガチで身に染みた。 まぁこんな感じで終わってくれたんならたまたま運が無かっただけで済むのだが、本題はここからで。 「「ぐわッ!!」」 悲鳴を上げて吹っ飛んだのは俺をリンチしてた奴らで、それが次々と1人の奴になぎ倒されていきやがる。容赦の無い蹴りや拳は、まるで蜘蛛の子を散らすように不良共を片付けていく。 その救世主がなんと美少女であった事を――――それだけではあるが確かに覚えている。情けねぇよな、助けに入ったのにボッコにされた上、女に逆に助けてもらったんだからよ。 ん? あぁ、何故それだけしか覚えてないのかってのはな。 「ごふうぅッ!!」 被害者であるハズの俺の顔面にもこの女は全力の蹴りをぶち込みやがって、俺の意識が闇に落ちちまいやがったからだ。 なんかその後「ちょっ、その人は違いますから石を置いて下さい!」という少女の声や、顔をペタペタと触られた気がするがとにかく覚えてねぇ。 そんなこんな情けねー話であって、滅多な事はするもんじゃねーと思った話だ。
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