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「つーかさー、すべらない話とか突然振られて面白い話出来る奴っていんのかよ? 小話の1つや2つあってもそれどうせ内輪ネタがせいぜいだろ」
「確かにそうだな、私も伝家の宝刀が幾つか――――――8個くらいあるだけだし」
「あんのかよ。つか宝刀多すぎじゃね」
「だって考えてみろ私の家アレだろ」
百舌にアレだろと言われたらまぁ納得はする。
なんせコイツの家は古くから歴史のある家系らしく、その昔に山の一部を買い取ってそこをくり抜いて超広大な和式の豪邸を建てたりしてやがる。なんか敷地内にゴルフ場があるとか、家の敷地単位が坪ではなくヘクタールだとか。それに、千草なんていうロボっ娘を秘密裏に製作しやがったり黒い噂絶えんし。
そういう所のお嬢様なら、確かに伝家の宝刀なんてそこらかしこにあっておかしくも、
「妹いるじゃん、2つ下の」
「家の事柄関係なかったぁーーッ!! つーか、妹のいる奴だからって普通そんなに宝刀持ってねーよ」
「ん、普通は無いのか? 風呂入ろうとしたら20分前に入ってた妹が犬神家の沼に突き刺さったポーズで出迎えたりとか、体張った一発ギャグだなぁって笑ってたら溺死仕掛けてたなんてよくあるだろう」
「ねーーよッ!! つーかそれ単なる事故で笑い話にもなんねーから」
笑いながら妹の悲劇を語る百舌に声を張り上げてしまう。つか常識的に考えろ、妹が溺死するようなイベントなんざそうそうあってたまるかよ。
そんな俺の突っ込みに「んーないかなぁ」とボヤく百舌と、「いっその事亡くなってたら私的には笑い話なんですけどね……」なんて千草ポツリとこぼしや――――ん、なんか物騒な事が聞こえたが恐らく気のせいだろうか。
とにかく、百舌のすべらない話はどうも妹尽くしみてーのようだし、期待するだけ損しか無さそうだな。それなら、
「千草の方はどうなんだ。自称ロボっ娘さんなら俺らとはまた違う話の1つや2つくらい持ってそうだが」
「はい、とっておきのお話がありますよ。げた箱に入れられた足首の噂は京五さんご存知ですか?」
確か学校の七不思議の1つで、バラバラ死体で見つかった少女の足首がその少女のげた箱に入れられたっつうあれだろ。つかおい、それすべらない話じゃなくてジャンルホラーだよな?
こんな秋真っ直中で聞く話では無いとは思いつつも、話を続ける千草に耳を傾ける。
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