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「これは隣のクラスにいる報道部所属の新聞担当の娘の話なんですが。
夏休みに入る前の最後の見出しに七不思議を解き明かす企画がありまして、その娘はさき程の足首の噂を任されたので、みんなが下校したくらいの時刻に下足場を調査をしたらしいんです。
本来ならその少女の靴入れを調べれば良いんですがそれがどこか分からなかったようで、その娘は端から端まで靴入れを開けては閉め開けては閉めを繰り返し調べてました」
そんな語り始めから、
「その娘は噂を鵜呑みに信じるようなタイプではなかったのと、半分くらい調べてみても異変も何も無かったから拍子抜けしてたんですが、ふと得も言われぬ異様な恐怖に悪い予感が働いたんです。
そう、次に開けようとした靴入れの前で」
なんて繋げ、それとなく声のトーンを下げながら千草が語るから雰囲気が出ていて、秋の賑やかな教室内というのに思わず背筋に寒気を感じてしまった。
「そんなのはどうせ気のせいだ、なんて勇気を振り絞ってその娘が靴入れを開けてみたらそこには――――あの噂のように、長く放置され冷たくなった足首から下が置いてあったんですって」
思わず話通りのような場面を想像してゾクりとした。話を聞いてこれだから実際そんな事を体験した娘は悲鳴ものに違いねーだろうな、七不思議怖過ぎだろ。今後靴入れ開ける際足がねーか肝が冷えそ――――
「でもそれ、私の脚部の予備パーツなんですけどね。靴入れに置きっ放しにしてましたら凄い騒ぎになってました」
「お前のかよ――――ッ!! すっげえホラーかと思ったら蓋を開けてみればただ傍迷惑な話じゃねーか。つかなんで靴入れに予備パーツ入れてんだよ、普通に靴だけ入れとけよ」
「だって、教室内に個人ロッカーなんて無いんですから靴入れが丁度良かったんです。
て、あれ京五さん、私が脚部パーツを入れてるの知っていなかったような口振りでしたけど」
「んなのお前の話で初耳だっつーの。もっと前に知ってたら止めてたし報道部の娘の被害も出さなかったぞ」
「おかしいですね……パーツの点検を毎日確認してるんですが、決まって足裏及び指の間に粘液がこれでもかって付着してるんですよ」
「粘液って……」
なにそのホラー、超怖いんだが。
新たなホラー疑惑に一瞬怯んで俺が尻すぼんでいれば、千草はその粘液についてこう語る。
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