弐ノ章

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その刹那、狂った笑い声と血を求める声が辺りに響き、浪士が刀で戦っている音が聞こえた。 影が塀に映り、戦っているのがわかる。 浪士の男は圧されているようだった。 少女の方を見ると、彼女は何が起こっているのか気になり、僕の向こうを見ていた。 僕が視線を戻すと、戦っていた男は相手に頭を刀で突かれ、板の向こうで倒れた。 少女はそれをみて奮えていた。 そして、浪士を刺した者が、倒れた浪士のすぐ横に出てきて、僕と少女は見つかった。 そいつは白い髪に赤く目が光っていた。 狂った笑いをして、その男は少女に切り掛かろうとしていた。 僕は咄嗟に愛刀を鞘から抜き、少女の前に立ち刀を受け止めた。 『(くっ…何だこの力は。 重い…。)』 刀で受け止め続けるのは危ないと判断し、相手を蹴った。 あれの情報整理をしながら、考えていると羅刹というのは浮かび、確信に変わった。 まさかとは思ったが、あの男の髪や眼、狂った笑いが、僕の知っている情報と一致する。 .
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