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「先輩…。」
涙が私の頬を伝う。
おかしいな…、泣きたいわけじゃないのに。
笑わなきゃ…。
けど、ひきつった笑みしかできない。
すると、君は困った顔で笑う。
「先輩…。こんな俺を好きでいてくれてありがとう。だから…先輩も笑ってよ。俺は先輩の笑顔好きだよ。だから、そんな辛そうに笑わないで…お願いだから…。」
そう言って親指で私の目の縁に溜まった涙を拭う君。
けど、涙が止まることはない。
「もう、終わりなんだよね…。」
涙とともに思いが溢れてくる。
「大好きだって言ってたのに…。ずっと一緒だって言ってたのに…。」
「うん…ごめんね…。」
一度溢れた思いは止まることを知らない。
次々と溢れ出てくる。
「私だけって言ってたのに…。君は私のこと好きじゃなかったんだね…。」
君の顔が、辛そうに歪んでいく。
私は今君を傷つけているんだね…。
でも、許してよ。
こうでもしないと押し潰されそうなんだよ…。
「…ごめんね、先輩。」
そう言って私をまた抱き締めた。
けど、今回は押し返さなかった。
「…嘘つき…。」
「…先輩聞いて…。」
「嘘つき…嘘つき…嘘つき!!」
私は、君のシャツを握ると子供のように泣きじゃくった。
「…先輩。お願いだから聞いて…。」
君は抱き締める力を強めた。
「…言い訳に聞こえるかもしれない。けど、聞いて。…あの日、先輩に言った言葉は嘘じゃない。」
私は、あの日のことを思い出していた。
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