ファイル・ジャージ・ハイソックス

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某高校。 今は、4時限目の体育の時間である。 時期は7月。 太陽がギラギラと照りつけている。 そんな中でする授業の内容は女子は室内でバレー。 男子は外でサッカー。 さっきから、暑くて汗が止まらない。 …こんな暑い中、何でサッカーなんかやらなくちゃいけないんだよ。 暑くて動く気力が起きない俺はボールを追いかける足を止めた。 足を止め、ふと体育館の方を見た。 女子がキャーキャーと賑やかにバレーをやっている。 そんな中で、俺は他の女子には見向きもせず、ある人物を探していた。 …いた。 たぶん見学なのだろう。 半袖半ズボンのジャージを着て、手にはファイルを持っている。 元々色が白いのだろう。 黒いソックスが映える。 …可愛いなぁ…。 黒くて長い髪に、細くて白い手足。 小柄でお人形さんみたいな顔。 …可愛いすぎる。 きっとこの時の俺は、そうとう顔が緩んでいたのであろう。 「ニヤニヤしてんなよ。気持ち悪い。」 隣に来た友人に真顔で、しかも一歩引いて言われた。 …悪かったな。 気持ち悪くて。 俺は友人を睨んだ。 友人は気にした様子もなく、ニヤッと笑うと言った。 「お前の叶わぬ恋を応援してやるよ。」 そう言って、サッカーへと戻って言った。 …叶わぬ恋か…。 でも、まあ…。 「頑張ってみますか。」 もう一度、体育館の方を見て、俺もサッカーへと戻った。 そのあと、戻った時にいつまでもニヤニヤしてんなと怒られ、蹴られたのは言うまでもない。 end
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