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目が覚めると、真っ白な天井が見えた。
ここは…保健室だ。
「気がついた?」
低くて優しい声がする。
そこには、裕樹くんがいた。
「ビックリしたよ。ちょうど2周目で通りかかったときに、北山が倒れてたから」
もしかして、私をここまで運んで来てくれたの?
私はふと大事なことを思い出す。
「マラソン大会は!?」
「…おう、もう終わったから安心しろ」
そうやってニコッと笑う祐樹くん。
そんな…
祐樹くんは、去年も1位で、今年もみんなから1位になること、期待されてたのに。
私のせいで…
「ごめんなさい!私のせいで…私のせいで祐樹くんが1位じゃなくなっちゃった…」
ベッドから起き上がろうとした瞬間、目まいがした。
「大丈夫だって!俺は来年また1位取り返すから!それよりお前はまだ安静にしとけ」
そう言って、祐樹くんは私を支えてくれた。
「でも…」
私は涙目で祐樹くんを見つめた。
「大丈夫。」
ニコッと笑って、祐樹くんの大きな手が、私の頭をポンポンと優しくなでた。
温もりが、頭から伝わって。
心も、なんだかポカポカしてきた。
ごめんね。
ありがとう。
私の中で、君への愛しさが溢れ出してきた。
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