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きっと。
僕はどこかで分かっていた。
幼馴染みとは一番近く、一番遠い存在なのだと。
日に日に綺麗になっていく佳英を僕はもう、一人の女の子として見ていたのかも知れない。だけど、恋愛感情は抱けなかった。
否、抱こうとしなかっただけなのかも知れないが。
僕にとって、佳英は妹のような存在であったし、例え佳英から好意を抱かれたとしても僕は佳英を心から好きになれるかと問われたとき決して自信を持って首を縦に振ることは出来ないだろう。
だけど、佳英が綺麗になればなるほど僕は佳英を誰にも渡したくないと思うようになっていた。
自分のものでもないのに。
好きでもないのに。
まるで娘を持つ父親のような気持ちだ。
佳英は堺と付き合い始めた。
堺から送られてきたメール
【Sub】 大成功!!
佳英からOK貰った!!
祝ってくれるよな!!
リア充サイコー!!
PS お前も早く彼女作れよ!俺も手伝う
から!
何が手伝うから…だ。
いつからだよ。
いつから、下の名前で呼びあうようになったんだよ…!!
佳英は俺も物ではない。
分かってる。
でも。
何故か、涙が零れる。
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないワカラナイ。
この時からすでに崩壊は
始まっていた。
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