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原因は未だに分からない。自殺か事故か他殺か。警察は目撃情報も証拠も出なかったことからこれを事故だと断定した。佳英も余所見をしていたらしく、僕も考え事をしていたため全く気付かなかった。親友が死んだというのに。
それに全く気付かなかった。僕は
最低だ。
関係者として僕らは警察からひとしきり事情聴取をされ、家に帰された。
「分かりません。」「知りません。」「覚えていません。」
それしか、言えなかった。
それからしばらくたって、佳英は死んだ。
「後追い自殺だってさ。」
近所のおばさんたちが噂をする。
やめてくれよ。
「阿麻井さんとこの子、見てたんでしょう?大変よね~」
「死んだ子の彼氏とも親友だったんでしょう?」
「二人とも死んじゃうなんて…ねぇ…。」
「でも、本人は記憶に無いみたいよ…?余程ショック立ったんでしょうね…。」
そうなんだよ。
僕には確かに二人が亡くなる瞬間を見てた筈だ。それなのに、僕にはその記憶が無いのだ。
微塵も。
欠片さえも。
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