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だけど、それはとても不自然な事で当然僕は疑われた。
いくら考え事をしていとしても隣に居た友人が電車の線路に飛び込んだ、もしくは、突き落とされたならば普通は気づく筈だ。
堺の件はともかく、佳英の件は言い逃れが出来なかった。
佳英が飛び降りたマンションの屋上には僕が居たのだ。気づけばその屋上に一人突っ立っていた。それで下を覗けば、はるか遠くの地面に佳英が横たわっていたのだ。
「阿麻井君、君は本当に何も知らないんだね?」
「はい。」
取り調べを行った刑事、兼原は僕の顔を舐め回すように見てから、
「はぁ…。あのねぇ…、嘘っていうのはね、いつかはバレるもんだぁ。そろそろよぉ…ほんとの事、吐いちまいなよぉ。」
ほんとの事…?
そんなもの僕が一番知りたいよ。
記憶が無いことには証言しようにも自白しようにもどうにもできないじゃないか。
良ければ僕の頭蓋骨をドリルで開けて海馬の解剖でもしてみますか?
結局、答えなど出るはずも無く、一応警察からは釈放されたが警察は未だ僕を疑っている様で僕は容疑をかけられたまま、日々を過ごしていたある日の事。
僕の人生を大きく揺るがす事件が起きた。
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