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コツコツと、足音が近付いてくる。
そこは真っ暗で何も無い所だった。
「なんだ…ここ?」
コツコツコツ…
足音が目の前で止まる。
「おはよー!!元気だった?ちょっと厳しかったかな?」
「誰…ですか?」
「えぇ~誰って…。ホラッ」
相手はぐいっと顔を寄せ付ける。
衝撃なんて物じゃなかった。
目の前に居たのは僕だった。
「なんで…夢…か?」
「夢じゃないよ。」
「な…。」
「ゲームを始めよう!!僕と君の主導権を巡る争奪戦だ。」
全く状況が飲み込めない。
「ちよ…まず、ここはどこで、君は誰?」
もう一人の僕はうーん、と唸りながら視線を空に巡らせた。
「ドッペルゲンガーって知ってる?あれみたいなもんだと思ってもらえれば良いよ。今はね。ホントは全く別物なんだけど。僕は君が望んだから生まれ、君の体を使い生活していた。だけど、僕と君の関係はそんな簡単にいくものじゃない。まず、体の主導権の有無から決めなきゃ。」
もう一人の僕はスラスラと話を進める。
ドッペルゲンガー…。会ってしまえば殺される、もしくは殺さなくてはならない存在。世界に自分は一人で良い。もとい僕は一人であったとしても必要ない様なものなんだが…。
「まず、ここはどこでもない、強いて言えば過去と未来の狭間、今という世界の欠陥コピー。ま、異空間だよ。」
話が…突飛過ぎてついていけない…。
「このあと、元の世界に戻ったら、僕を探して。僕も君を探すから。そして僕を殺して。僕も君を殺すから。生き残ったどちらかがこれからずっと正式な阿麻井真人だ。」
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