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「俺さぁ思うんだけど、お前もうちょっと遊べよ」
「遊んでるよ、ほどほどに」
僕は適当に一樹の言葉をあしらって、カレーを口に運んだ
お節介な一樹は一人で昼食を食べている僕を見つけては、「寂しいやつだ」と冷やかしながら、いつも僕の前に座る
「じゃあ今晩あるサークルの飲み会お前も来いよ」
一樹は黙々とカレーを食べる僕を覗きこんで言った
「近ぇよバカ」
僕は笑いながら一樹の顔を押し戻した
「わかった。行けたら行くよ」
僕がそう言うと
「お前そう言ってこの前も来なかっただろ。今回は絶対来いよ、絶対」
と一樹は念を押すように言った
「分かった分かった」
僕はまた適当に返事をした
今日も実咲の所へ行くつもりだったが、まぁたまにはいいかと納得させた
「にしても、最近サークルほとんど活動してないな」
僕はふと口に出した
「あー。最近メンバーが集まらないからなぁ。お前含めて」
一樹は横目で僕を冷ややかに見た
サークルの活動は、主にボランティアで児童施設や小学校をまわって子供達と遊ぶという、いかにも教育学部の僕達らしいものだった
「でも最近新しいやつが何人か入ったんだ。人数も増えたことだし、またぼちぼち活動するか」
一樹はウーロン茶を飲み干して言った
「そうだな。今度は俺も行くよ」
「了解。じゃあまた後でな」
そう言って、一樹は授業に向かった
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