尽くす男

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僕は次の授業まで少し時間があったので、図書館で時間を潰すことにした 【読みたいと思った本があったのだが、題名は何だったか・・・・】 なかなか題名が思い出せないので、手当たり次第本を手にとっては戻すという行為を繰り返していた 「あの、ちょっと・・・」 「えっ?」 振り返ると、ふわふわとしたロングヘアーの女の子が立っていた 「あの、そこにある本取ってもらえますか?」 彼女はおずおずと、棚の一番上にある本を指差した 指差した先にあった本は、【家庭環境といじめ】という題名の本だった 【見た目と違って、ずいぶん重たい本を読むんだな】 僕はそう思いながら、その本を彼女に渡した 「ありがとうございます」 彼女はくしゃっと笑うと、一礼してどこかへ行ってしまった 服装はシンプルだが、地味ではなくて、自然体というか・・・・・言葉にするのが難しい、不思議な雰囲気を持った女の子だった 僕はそのまましばらく立ち尽くしていた キーンコーンカーンコーン――――― 鳴り響く予鈴の音ではっと我にかえった僕は、適当にその辺にあった本を手に取り、急いで授業に向かった
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