尽くす男

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「あの、さっきはどうもありがとうございました」 「ん?あっ、いや別に……」 彼女が何回も頭を下げるので、僕もつられて頭を下げた 「何そこお見合いみたいになってんの??」 一樹が僕の肩に腕を回しながらからかってきた 「ってか、心ちゃん巴と知り合いなの?」 「いえ、今日たまたま図書館でお会いしたんです」 「ふーん。巴のヤツ無愛想だから怖かったろ?」 【おいっ】 僕は心の中で突っ込んだ 「そんなことないですよ、巴先輩はとても優しい方だと思います…」 心はあの時のように、くしゃっと笑ってみせた 僕はなんだか照れ臭かったので、黙々と枝豆をつまんだ 「でも心ちゃん、こいつはダメだぜ。彼女いるもんなー!」 「あっあのっ!私そんなつもりじゃ…」 心はあたふたしながら、その場にあった梅酒を一気に飲み干した 「おい一樹、お前ちょっと酔ってんじゃないか?向こうで酔いざまししてこいよ」 「酔ってねーし!!」 一樹はとろんとした瞳でこっちを見ている 僕は「はいはい」と言いながら一樹を窓際につれていった 正直、「彼女」という一樹の言葉にドキッとした 僕は、実咲の事を「彼女」と呼べるのだろうか 実咲は昔のように、僕の事を好きとは限らないのに…
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