6人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は近くの公園のベンチに心を寝かせた
春だというのに、夜はまだ冬の名残がたちこめている
僕は自動販売機でコーヒーを買い、一人もの思いに耽っていた
【俺は…何してんだろう】
小さくため息をついた
【酔った後輩を介抱するために俺は来たのか…
こんなことなら飲み会にも参加せずに、実咲の元へ行けばよかった…】
「……ん」
心が気だるそうに体を起こし、辺りをキョロキョロと見回している
「やっと気が付いたか」
僕は水を差出しながら言った
「ここは何処ですか??何で巴先輩が……」
「お前、店で酔って寝てたんだよ。ったく、自分の酒の強さくらい把握しとけ」
僕はイライラした調子で水を心に無理矢理渡した
「そうだったんですか……すいません。私、飲み会とか初めてで…」
「気をつけろよ。女が酔うのを待ってるヤツもいるんだから」
「…はい。先輩ずっとついててくれたんですか?」
僕は黙ってコーヒーを飲んだ
「…巴先輩は、やっぱり優しい方なんですね。ありがとうございます」
そう言って、心は嬉しそうにうつむいた
最初のコメントを投稿しよう!