ネガイ

6/6
前へ
/130ページ
次へ
病室に戻ると、実咲は心配そうに 「どうかしたの?」 と言った 「・・・・ひまわりを見に行きたいな」 僕はささやくような小さな声で呟いた 「ひまわり?どうしたの急に」 実咲はくすくすと笑った 僕はゆっくり顔を上げた 【あぁ本当に、彼女は記憶を無くしてしまったのだ】 そう思うと虚しかった 一緒に過ごした10年は何だったのだろう 実咲は10年前と変わらぬ笑顔で笑っている 【1日でも早く、実咲の記憶が戻りますように】 今はそう願うしかない 僕はぼんやりと彼女を眺めた
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加