『よろしければ、どうぞ』

１

ﾞﾆｬｰ…、ﾆｬｰ……ﾞ

濡れて帰るのも嫌で、何事にも少しやる気を失って、止むかも分からない雨を待ち続ける事にした矢先。

ふと、足元から鳴き声がした。

『…、お前も雨止むの待ってんのか？』

いつ来たのか、いつからいたのか分からないけれど、黒猫が一匹、俺と同じように店の前に座っていた。

『綺麗な毛並みだな。飼い猫か？でも、首輪がないな』

しゃがみ込めば、人懐っこいのか足に身を寄せてくる黒猫。

撫でてやれば気持ちいいのか喉を鳴らして目を細めた。