ちょっとはだけてみませんか?

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日与が帰ってきてから… ほんの少しの時が流れた こんなに… 日々が温かく感じれるなんて、想像もしてなくて… 当然のように何時も傍に居てくれる日与が愛おしい 『道場、隊長が継ぐんですか!? 本当に…本当に良かったです!!』 日与は… 僕が近藤さんを尊敬しているのを当然知っているから、教えたらとても嬉しがってくれて… 僕も継ぐ決心をした でも、日与がここに戻ってきて気付いたことが1つある 彼女は… 物凄いお尋ね者になっていて、それは僕も例外じゃない だから今は… 試衛館から少し離れた、静かな山小屋で2人で暮らしている 動乱の余韻が消えたら戻る予定だけど、正直言うと… 戻りたくない気もする きちんと道場を継ぐつもりだし、継いだら近藤さんが積み重ねてきたものを崩さない様に… 真剣に取り組むつもりだ でも、やっと… やっと2人になれたから… あともう少し、ここで明治を迎えた日本を見つめていたい 日与と… もっと一緒にいたい でも、困った事はある 日与は… 右腕を怪我したのか、もうその腕は高く上がらないし… 使いずらそうにしている 今も… 風で飛んでしまったのか、木の枝に洗濯物が引っかかっていて、それを取ろうと必死に背伸び それもそれで…可愛い でも、そんな風に放っておくとこんな事も出来ないと落ち込んでしまうから、日与に近づいた 髪も大分伸びて… 『似合わないですよね…』 そう言って日与は何度もそれを切ろうとしていたけど… 止めた とっても…似合っていたから 僕の選んだ桜色の着物を着て、髪が伸びている日与はどこからどう見ても可愛い女性 背中に近づけば抱きしめたくなってしまったけど… 手を伸ばして枝に引っかかっている洗濯物を取ってあげた 「あ、隊長!!」 日与はそんな僕に驚いてこっちを見てきたけど… ほんの少しだけ、不平不満を言いたい所も残ってる 「隊長じゃないけど?」 そう、呼び名が直らない 確かに『隊長』と呼ばせ始めたのは僕だし、そんな呼び名を心地よくも思っていたけれど… どうせなら名前で呼ばれたい
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