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何も言わない俺たちに飽きたのか、もう他の話題に移ったアイツらを見て思わず苦笑いになった。 人の傷口に塩を塗り込むだけ塗り込んで、俺と鈴音の周りだけに漂う冷めた空気を放置されたら苦笑いになるしかないだろ。 それなのに、そんな空気に気付きながらもあの頃と変わらない屈託のない笑顔を俺に向けてくる鈴音を見てしまうと… 心の奥底に鍵をかけて閉じ込めたはずの想いが、ジリジリと滲み出てくる感覚がわかった。 俺は今でも鈴音が好きなんだと認めざるを得ない。 数年前、成人していたとは言え、まだガキだった俺にはとてもじゃないけど受け止められなかったのに。
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