2

3/19
前へ
/35ページ
次へ
こんなこと、前にも何回かあった。好きだと思い、友達に報告する。いざ声に出すと、違うと気づく。 そういえば、 最近ナツが雲野と話しているのを見ないな、と思う。 その方が嬉しいけれど そんなこと言わない。 けして声にはださず なにもせず、 雲野を見守れればそれでいい。 通路をはさんで隣の机 近くて遠い雲野と私。 言葉にせず、声にださず 卵を温めるように育てていく そんな秘密の恋にしようと思った。 声に出そうものなら 温めていた卵のからは たちまち割れてしまいそうで。 臆病な私は その卵を叩くことすらできない。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加