12人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬の沈黙が流れ、聖華が言った。
「あんた!覚えてないの!この私のことを!」
「あ、あぁ。全然...」
少し困ったように笑いながらそう言った。
「信じられない!もうあんたなんて知らない!」
そう言って後ろを向いた。
「お前ら仲良いな。よし、桐生の席は矢吹の隣だ。」
それを見ていた高須川先生がそう言った。
「いやよ!こんな人のことも覚えられないような能なしの横なんて!」
そう言いながら、光輝の方を指差した。
「誰が能なしだ!確かに忘れたのは悪いと思うけど、それは言い過ぎだろ!」
光輝も言い返した。
「まぁまぁ、ケンカするほど仲が良いって言うじゃない。はい、決定!」
そうして、聖華の席は強引に決定してしまった。
この日光輝は、あんな美人と知り合いにも関わらず忘れていたことにより男子生徒にものすごく非難を受けたという。
そして帰り道では、
「ちょっと、何であんたついてくんのよ。」
少し後ろを歩く光輝に聖華が言った。
「仕方ねぇだろ。家こっちなんだから。」
そう言った後にしばらく沈黙が流れ光輝がこう言った。
「悪かったよ。忘れちまって。」
それを聞いた聖華は振り返って
「今さら思い出しても許さないんだからね!あんたなんて大嫌い!」
光輝にこう浴びせた。
「謝ってんのに、そんな態度とんのかよ!」
こういう言い合いを繰り返していると、光輝の家に着いた。
「じゃあな!俺んちここだから。」
そう光輝が言うと、聖華は驚いた顔をした。
「あんたの家ここ...?私の家ここなんだけど...」
そう言って光輝の家の隣を指差した。
「えぇーー!!!」
まるで、街中に響き渡るような声で驚いた。
最初のコメントを投稿しよう!