第0章》解答

2/2
前へ
/71ページ
次へ
―普通でよかったんだ― 俺は何より普通がよかった。 普通に受験勉強して受かったり落ちたり 普通に友達作って喜怒哀楽しながら他愛のない日常を送って 普通に彼女作ったり、部活かなんかに熱心になるみたいな青春して…。 そんな人生でよかったんだ。 変化のない日常といっても面白い変化ならいいとして、漫画みたいな非現実的なことがポンポンとやってくるような、そんな人生はいらない。 そう…思っていたのだが。 「なんだよ…なんなんだよ!!こんな人生はよー!!」 俺にもやってきてしまった。 そんな非現実的、非常識的なサプライズがやってきてしまった。 目の前にはマンガのような展開が広がっているのに、俺ときたら制服に鞄といった超日常的じゃねえか。 こういうシーンならマンガやアニメなら 俺の手にはものすごく斬れそうな剣や、何でも守れそうな盾が握られていて、そんな非現実的な状況と知恵と勇気で戦っていくんだろうよ。 でも…俺には…俺には。 「ちくしょー!!!!」 俺は力の限り叫んだ。 声が枯れようと、どうなろうと構わない。 胸が張り裂けるくらい息を吸ってその息を声に変えた。 やはり俺の体は脆い。 漫画みたいにうまくはいかない。 そのまま俺の体は地面に崩れ落ちた。 そして目も開ける力を失うと同時に俺は一つ思いをはせる。 ―次目覚めるときは、普通の日常が待っていますように― 決して敵わない願いを俺は呟きながら、死んだように深い眠りについた。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加