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しばらく桜道を行った先にうっすらと建物らしきモノが見えて来た。
その建物とは…言うまでもないだろう。
朝、制服を着た学生が向かうところといえば、学校である。
生徒手帳に書いてあったのだが、俺達の高校は創立二百年らしくところどころに皹やへこみなどが目立つ。
歴史を感じるね。
まあ見た目通りといえば見た目通りだな。
俺がそんなことを思っている間に、奴は足早に校門をくぐっていた。アイツ、歩く早さは尋常じゃないな。今度「競歩」にでるがいいさ、まちがいなく優勝できるさ。
俺はまたもや奴を追って走り出した。
***
追いついたのは下駄箱で、既に、奴は上履きに履き替えて、余裕の表情で「お前遅いぞ」とでも言いたそうな、いや、目で言っている。
その細い目で睨まないでくれ、寒気がするから…。お前の睨みはどんなホラー映画よりも勝るからな。というか開いてるのか、目。
俺が上履きを履き替える頃にはアイツは既にそこにはいなかった。
俺は口から火炎放射でも出そうなくらい深いため息をついた。
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