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「今から榊さんに校内を案内するんだが、誰か来るか?」
流石に二人きりで行くのは、他の男共に殺されそうで怖い。だから誘ったのだが。
「ごめん……。私は行けない」
一番乗ってきそうな設楽が断った。理由を聞こうと設楽の顔を見て驚く。
「大丈夫か? 顔、真っ青だぞ」
すると設楽は弱々しく微笑む。
「多分いつものやつだから、大丈夫だよ。ほっとけば治るから」
「設楽、無理したら駄目だよ。この前それで倒れたのは誰だった?」
高橋がきつめな口調で言う。
設楽には、持病のようなものがある。原因はわからないが、突然貧血のような症状を起こしてしまうのだ。
「俺、保健室連れてってくるわ」
若杉はそう言うと、設楽の手を引いて教室を出ていった。
俺は高橋の方を見る。
「高橋は?」
「俺は次の授業の課題忘れてたから、行けないかな」
「了解」
結局二人か。ため息をつきながら彼女の方を見る。ちょうど質問の切れ目だったようだ。このチャンスを無駄にせず、俺は口を開いた。
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