プロローグ

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 俺は夢を見ていた。  歌が聞こえる。すごく綺麗で暖かいのに、どこか悲しげな歌が。  眩しいくらいに真っ白な空間。その中心には俺と、白い服を着て黒い髪を腰まで伸ばした幼い女の子がいた。  女の子は立ったまま、ずっと泣いていた。大声で叫んでいた。  助けて、私を見て、忘れたくない、と。  どうしたんだい?  そう問いながら屈んでその女の子の顔を覗き込む。途端、女の子の右目からこちらを見る黒い影と目があった。  俺は反射的に飛び退いた。それを見た女の子の泣き声が、叫び声が、更に大きくなる。  皆そうだ、私を見た瞬間にどこかに行っちゃうんだ、と。  違う。そう言いたいのに、口が動かない。それどころか、段々と意識が薄れていく。  俺が見たのは、“君”じゃないんだよ……。 そう思いながら、俺は意識を手放した。
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