空逢

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寒い朝だった。 駅までの道を歩いていた。 呼吸をするだけで息が白くなっている。 隣を風邪の予防だろうか、マスクをしたサラリーマン達がせわしなく歩く。 コンビニの前につくと、St.Valentineと書かれた 旗のようなものがかかっていた。 あ、そういえば、明日はバレンタインか そんなことを思いながら道を急ぐ。 友達が、今年は生チョコ作るとか何とか言っていたことを思い出す。 小学校でも中学校でもバレンタインデーに男子にチョコを渡した記憶がない私にとって 明日のことなど頭にも入らなかった。 恋はしたことがあると思う。 けど、告白した記憶もなければされた記憶もない。 というより、何故か私は昔のことを思い出そうとすると、 胸が苦しくて、何かこれ以上引きずり出してはいけない気持ちに襲われるのだ。 駅につくと、電車が遅れている、とのアナウンスが流れていて、ホームにはいつも以上の人がいた。 いつも乗っている場所に行き、電車を待っていた。 周りでは携帯を片手に電車のダイヤを調べるサラリーマン達と 女子高生達が固まって時計を見合ったりと 電車の遅れは相当迷惑がかかっているようだった。 「もしかして、優奈か?」
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