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声のした後ろを振り返ると
そこには見覚えのある180以上はある身長と
聖花高校野球部とか書かれた野球鞄。
「賢人??」
「おう!久しぶりだな!」
電車遅れてだりーな、と賢人が言った。
賢人は、幼なじみで、幼稚園から中学まで
ずっと一緒だった。
しかし、中学三年の時、私立の高校から推薦が来て
今ではあの甲子園常連の聖花高校の野球部、
もちろんのこと寮暮らしで、会うのが久しぶりだったのだ。
「男子校の、俺にとって明日のバレンタインなんていらねーわ。つか、夜遅くまで部活だっつーの」
「私なんか存在すら忘れてた」
共学なのにそれは贅沢だな、と賢人が笑った。
アナウンスは、50分遅れで電車が到着することを知らせた。
そして、やっと到着した電車に乗り、他愛もない会話の後、賢人は俺はここで降りるからまたな、と降りていった。
まだまだ満員電車の中、私は、明日のバレンタインのことを考えていた。
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