空憶

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教室に着くと、授業が始まっていた。 私はなんのためらいもなく、ドアを開ける。 みんなの視線が一気に私に集中した。 「なんだ、寝坊か」 と、古典の先生が言った。 「いえ、電車が遅れていて」 「そうか。あとで、延着届け生活指導室まで持っていくように」 じゃあ授業再開するぞー と先生が言い、みんなの集中も授業に移される。 自分の席につくと、後ろの席の仲良しメンバーの一人が小声で 「大変だったね」 と言った。 「ほんとにそうだよ。全く。でもね、駅で幼なじみに会ってね____」 この時から私の記憶の歯車は少しづつ、少しづつ、衝撃の展開へと動いていっていることは、 誰も知らない。
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