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その日の午後もいつも通り
陸上部の活動をして、夜7時くらいに
学校を出て、家に帰るつもりだった。
けど、真里とその他の仲良しメンバー、
理子が、バレンタインのラッピング買うのに付き合って、と言ってきたので
仕方なく近くのショッピングモールへ
行く事になった。
三階の雑貨屋さんにいるよ
と真里からメールが来たので、
向かうと、そこにはもう一人の友達、愛衣と3人の姿があった。
「優奈ぁ!待ってたよー、これとこれ、どっちがいいかなぁ?」
おっとり話すこの子は、理子。
真っ白な肌に地毛の茶色のフワフワした髪。
天然で、小さくて、モテて、私とは正反対の子だ。
「優奈に聞くなよ、こいつ、バレンタイン興味ないんだから」
と言うのは愛衣。短髪、長身、声は低くて
見た目は男子。体育の成績はいつも学年トップ。
この前のマラソン大会なんか、先輩を差し置いて
全学年女子トップだった。
店内の商品はバレンタイン一色で
まるで私が仲間はずれにされているようで
居心地が悪かった。
真里に、先輩にはあげないの?
と小さい声で聞かれて、
まさか!
と答えた。
先輩に恋をしていることを知っているのは、
真里だけだ。
真里は、入学式の時に初めて私に話しかけてくれた子で、
綺麗な黒髪に大きな目。
頭が良くて、しっかりしてて、
クラスの委員長をしている、頼れる友達だ。
他の子が頼れないわけじゃないが、
なぜか真里にはなんでも話せた。
いつも正しいことを言う真里だが、
わたしが先輩にチョコをあげるなんて、
できるはずがない。
「生徒会長が言ってたけどね、彼女いないらしいよ」
私が恋している先輩、2年の走り高跳び担当の、松田光希先輩。
白石有生徒会長と、友達で、よく真里に
話を聞いてもらっている。
彼女がいなくてもね、好きな人くらいいるでしょうよ、
と言うと、
やってみなきゃ分かんない、
当たって砕けろ!でしょ??
真里はいつもこう言う。
私が、合唱祭の伴奏をしようか悩んでいる時も
こう言って背中を押してくれた。
「だよね、がんばってみようかな…?」
「そうだよ、クッキーとか、作れる?」
私がそんなことできると思う?
と聞くと
「私んちおいでよ。時間ある?」
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