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2・研究室とドジコ
二人は自動車で、新宿の市ヶ谷にある技術研究本部に到着した。
建物に入り、地下に降りると、廊下の突き当たりにある「対静侵略研究室」と書かれた扉をくぐった。
研究室はオフィスと呼んで差し支えない構成だった。
刃平は、研究室というからには映画にでてくるような、機械とフラスコが並ぶ部屋を想像していたが
まるで違うので、キョロキョロと見回してしまう。
オフィスであるフロアは割に広く、かなり大きめの机が8個ならび、パソコンが完備されている。ソファーセットもあり8人程度座れる大きいものだ。
そのほかに、狭いが室長室、作戦室としてディスプレイや機器類が備えられた部屋、それと資料室がある。
瀬織と刃平がオフィスに入ると、中にいたのは小柄な若い女性が一人で、机から顔を上げ立ち上がった。
女性は瀬織に飛び付くように近寄る。
「アネサン!久し振りですう!来るなら連絡してくれればいいのにぃ!」
やたらと元気がいい。
声も大きい。
瀬織は周りを見回し
「ドジコ、一人?」
と聞いた。
「はい!モヤシさんとメガネ女史は総理秘書官のところへ。
ハカセは大東阪大学に行ってます。
ナデシコちゃんは学校。
ジイサンはいつも通り、喫茶大正堂でマスター稼業中。」
「そう。じゃあ喫茶大正堂からコーヒーポットとケーキ届けさせて。」
瀬織はソファーに座る。
『ドジコ』と呼ばれた女性は
「はい!あ、お客様!ケーキは一個でよろしかったですか?」
と、瀬織の隣の刃平に尋ねた。
「あ、はい。」
「かしこまりました。お客様もどうぞおかけください。」
刃平にソファーを勧めた。「あ、はい。」
刃平は座る。
女性は机の上の固定電話に飛びつき、ダイヤルする。
電話を終えたドジコを、瀬織はソファーに座らせた。
ドジコは肩くらいの髪型で目が大きく沖縄系のはっきりしたかわいらしい顔立ちをしている。
瀬織が刃平を平手で指してドジコに紹介した。
「こちらが刃平ちゃん。」
「あーやっぱり。話しは聞いてたからそぅかなーて思ってたんだ。」
ドジコはテーブルを挟んで向いに座る刃平をニコニコしながら見つめる。
性格がそうさせるらしく、真っ直ぐに見ている。
瀬織は今度は刃平に
「こちらが東雲 あかり、コードネームていうか通称ドジコ、18歳。今年入った新人よ。
身長150センチ、胸はそこそこ、普段はそつがないけど、ココ一番でコケるからドジコと呼ばれてる。」
とドジコを紹介した。
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