2・研究室とドジコ

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ドアがノックされた。 ドジコがドアを開ける。 「お待たせ~毎度~」 と、頭に三角巾をかぶり割烹着姿の娘がワゴンを運んできた。 瀬織の顔を見ると 「オウ、やぱりアネサンさんいたね!シバくです!」 といいながらパチンと手を叩いた。 瀬織が突っ込む。 「いや、それを言うなら『しばらくです』ね。」 そして刃平の頭をグリグリして、割烹着の娘に紹介した。 「このボウズが今日から入った………あ、まだコードネームつけてないな… 仕事柄、本名で呼ぶのはご法度だから、なんかつけなきゃ。」 瀬織が刃平を見る。 刃平は嫌な予感がしたので釘を刺す。 「姉さん、まともな名前を期待します…」 「そうねえ~、オタクで馬鹿で種馬だから… とりあえずバカオタク種馬、 長いから『タク』にしましょうか。」 「えー、オタクは否定しないけど。なぜ僕が種馬?」 割烹着の娘が 「タクさん、ごヒキョウに。」 と頭を深々と下げた。 刃平は渋々、頭を下げた。 「それは『ご贔屓に』です。よろしく。」 瀬織が補足する。 「彼女は姫 杏花(ジ・シンファ)、忠国から留学にきた大学2年生、みんなは姫って呼んでる。 近くの喫茶大正堂のアルバイトよ。」 刃平は違和感を感じる。ここまでくるには門から始まりセキュリティが4重にもなる。 一般の喫茶店アルバイトが入れるものなのか? それはドジコの次の説明で合点がいった。 「大正堂のおかみさんは、研究室の名誉相談役のジイサンの奥様です。 彼女はジイサンの古い知り合いの孫だそうです。」 姫は 「皆さんツァイツェン(再見)ね!」 と言い出て行った。
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