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三人は瀬織の運転する車で帰路についた。
助手席に刃平が座り、後ろにドジコが座っている。
いきなりドジコが
「あ!」
と声を上げて
「やだもう、タクさまったらあ!」
と身をくねらせた。
刃平は振り向き
「な、何でしょう?僕、何かした?」
聞いてみる。
「だって、今夜、タクさまが、誰か入ってるお風呂を覗こうとするんですもん。」
「はああ!?しない、しないよ。」
瀬織がうふふと笑う。
それを見て刃平は、やっぱり何かある、と確信した。瀬織が話す。
「いやあ、言い忘れてたけどドジコは近未来予知能力が不定期に発動するの。
一度予知したら確率88%で現実化する。
不定期だから、ぜんぜん便利じゃないけど。」
「じゃあ僕が風呂覗くっての?」
「そうよ。帰ってから命令するつもりだったけど、今言うわ。
今日からアタシが入浴してる時は必ず一回覗くこと!」
「えー!」
「えー!」
刃平とドジコがハモる。
ドジコがまず後ろの席から前に身を乗り出し
「アネサン、覗かれるのは私の役目ではないでしょうか!
胸はイマイチだから恥ずかしいですが!」
と騒ぐ。
瀬織は、わはは、と笑う。
「修行のためだから、ドジコじゃ修行にならない。」
刃平が騒いだ。
「何の修行だっつの?」
「潜入捜査任務。」
「なぜ風呂?」
「そのほうが楽しいでしょう?アタシの裸、見たくない?」
「いや見たくないこともないけど…。」
ドジコが刃平の肩を掴んだ。
「女性の裸がみたいんですか?」
ストレートに聞かれて刃平は返答に詰まった。
「あ、いやなんていうか、そういう年頃ていうか。」
瀬織が助け舟を出した。
「大丈夫、太平洋の向こうのメリアン合衆国から、日本の富士山ながめるくらい難しいから。まず見られない。」
刃平が突っ込んだ。
「なんだ、不可能ってことじゃん。?!」
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