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ドジコは薄手のスェットスーツ姿に着替えて脱衣所から出てきた。昼間着ていた服は手に持っている。
瀬織が
「ドジコは今夜は、2階の西角の部屋使って。」
「はーい!」
服を2階に置きにいった。
刃平は初めてこの家の風呂に入る。
普通よりやや広い。浴槽も大人が二人は楽に入れる。水道代とガス代が馬鹿にならないだろうなどと考えながら風呂につかる。
「さて、覗くには…」
刃平は作戦を練る。
脱衣所に入ると正面に風呂のドアがある。
今まで見てきた瀬織の能力から考えると、正攻法は厳しい。
だが、脱衣所を抜けて風呂の出入口から覗くか、外を回り窓からいくか。
どちらかだ。
まずは今日は脱衣所側から低い姿勢で覗くことに決める。
その頃キッチンではドジコが晩飯の支度を始めていた。
この台所を使ったことがあるらしく、手慣れた様子で材料を確認し始める。
リビングでは既に瀬織が、ノートパソコンを叩きながらワインボトルを1本空けていた。
刃平が風呂から上がってきた。
瀬織が
「どれ、じゃあ刃平ちゃん、三分後にミッションスタートね。」
といって、脱衣所に入りドアを閉めた。
のぞきミッションが開始された。
刃平は
脱衣所のドア前に立つ。
シャワー音がする。
とにかく、速攻でかつ、視界に捉えにくい下から覗くようにドアを開けてみる計画だ。
そのときドジコが後ろから小声で
「今、タクさまが意識不明で倒れてるヴィジョンが見えました。気をつけて。」
と教えてくれた。
「やだなあ~。それとタクに『さま』ってつけなくていいですよ。」
「うーん、確かにコードネームは呼び捨てがルールなんですけどね。
呼び方は考えておきますので、頑張って!」
「なんだかなあ…」
と、いいながら刃平はちょっとワクワクしてる自分に気がついた。
結構、自分は変態なのかも、と思う。
ドアを開ける。
奥にある曇りガラスの扉の向こうに確かに瀬織がいる。
ダッシュで仰向けにスライディングして床に寝そべったまま、曇りガラスの風呂の扉をそっと開けようとした。
パコ
顔面にプラスチックの洗面器が被せられた。
「くっ!」
洗面器を顔から取ろうとしたところで、ミゾオチに衝撃を受け、意識を失った。
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