1・瀬織の住まい

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ここまでは普通の住宅だが、クローゼットの奥にもうひとつ扉があった。 刃平は瀬織に尋ねた。 「この扉は…?」 扉は鋼鉄製のかなり頑丈なもので、鍵穴はないが指紋認証と網膜認証の装置がついている。 瀬織はちょっといたずらっぽく笑った。 「うふふふ、ここからがアジトたるところなの。」 瀬織は指と目を装置にあてる。 刃平はその指を見て、あらためてその手の美しさに感嘆した。いわゆる手の関連商品の宣伝のために、手だけを撮影する手タレントという職があるが、それすら比較できないほど整っている。 ガゴンッと重い音がして開錠された。 扉をあけると階段がある。 瀬織に続いて降りると、広い柱のない部屋に出た。 壁際に様々な鍛練器具がある。刃平は唸った。 「うう、これは…」 瀬織は心底楽しそうに叫ぶ。 「そう!武道場よ。ここでみーーーっちりシゴクのよ!楽しみねぇ~ほーっほっほっほ!」 刃平は、小さく 「ああ、やっぱり」 とつぶやいた。
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