1・瀬織の住まい

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一階のリビングに戻るとすでに昼を過ぎていた。 瀬織がキッチンに立つ。 「刃平ちゃん、お昼つくるけど苦手な食べ物ある?」 「キムチとかはダメ。」 「??、じゃあなんでもいいか。手伝いはいらないからテレビでも見てて。」 刃平はソファーに座りテレビを点けた。 キッチンから凄まじい音がし始める。 そちらを見て、刃平はさすがに驚愕した。 「あ、あわわわ!」 瀬織が野菜をまな板で切っている。 しかし、切っている手が早過ぎて見えない。 3個あるコンロのハイカロリーバーナーそれぞれに忠華鍋が3個並び、材料がほうり込まれるや、3個の鍋を一度に振り出した。 実際は両手で超高速で鍋を一振りごとに持ち替え、炒め物を同時に3鍋で作っているだけである。 あっと言う間に料理が出来上がり、見えない速さで並べられた皿に移される。 ソファーから腰を上げたまま、呆気にとられて刃平はその様子を見ていた。 「…へたに手伝ったら命に関わるな…」 瀬織は料理が終わると普通の人間的速度でテーブルに皿を運んできた。 刃平はまだ中腰だった。
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