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一階のリビングに戻るとすでに昼を過ぎていた。
瀬織がキッチンに立つ。
「刃平ちゃん、お昼つくるけど苦手な食べ物ある?」
「キムチとかはダメ。」
「??、じゃあなんでもいいか。手伝いはいらないからテレビでも見てて。」
刃平はソファーに座りテレビを点けた。
キッチンから凄まじい音がし始める。
そちらを見て、刃平はさすがに驚愕した。
「あ、あわわわ!」
瀬織が野菜をまな板で切っている。
しかし、切っている手が早過ぎて見えない。
3個あるコンロのハイカロリーバーナーそれぞれに忠華鍋が3個並び、材料がほうり込まれるや、3個の鍋を一度に振り出した。
実際は両手で超高速で鍋を一振りごとに持ち替え、炒め物を同時に3鍋で作っているだけである。
あっと言う間に料理が出来上がり、見えない速さで並べられた皿に移される。
ソファーから腰を上げたまま、呆気にとられて刃平はその様子を見ていた。
「…へたに手伝ったら命に関わるな…」
瀬織は料理が終わると普通の人間的速度でテーブルに皿を運んできた。
刃平はまだ中腰だった。
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