11人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうね、はしょって話すか。
昔、日本の富国強兵のため、軍の特殊部隊が身につけるに相応しい格闘術を探す計画があった。
これを受けたチームが組織の前身。
探した結果、忠国の仙術と沖縄の手(てー)を融合してできたのが『魂仙手』なの。
始めは単に仙手と呼んでいたけど、アタシの代から魂を入れて魂仙手と呼ぶようにしたのよ。」
刃平は長い説明にいささか眠気を感じたので口をはさんだ。
「魂仙手って歴史が150年くらいってことだね。」
「でも言い換えれば、仙術を闘いに特化したとも言えるからベースの歴史は膨大よ。
ところが知っての通り、修得には素養が必要で、会得できたのは、
そのチームリーダーの、奥さん一人。結局、軍の誰もモノにならなかった。」
「意味ないなあ。」
「武術としては強力だから継承はしなければならない。そこで素養あるアタシが引き継いだ。」
「ふむふむ。」
「だからあなたが三代目。」
「ふーん…」
「戦後、国内にはびこる敵の廃除に使われることになり、今に至る…てわけ。」「どのくらい強い?」
「現代の通常兵器の戦力と比較すると、メリアン合衆国の全戦力の25パーセントくらいかなあ。たぶん。」
刃平は吹き出した。
「まさか」
「私に限ればほんと。
あなたがそこまでなる必要はないわ。」
「なるわけない。」
「銃も効かない、毒ガスも効かない、くらいには必ずなるから大丈夫。現に爆発に耐えたじゃない?」
「攻撃力がないよ。」
「それはこれから。アタシは水の属性だけど、あなたはどうかしら?」
「?」
「まあ、属性はそんなに能力の大小に影響しないけど。」
瀬織は、ふふっと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!